2010年6月5日土曜日

ビジョンクエスト 2

前に進み続けて、約4時間、小さな入り江にたどり着いた。
そして、ここがよいと感じた。

海との距離もよく、熱帯雨林が茂っている。

そこに荷物を置き、やしの葉で寝床を作る。

薪を集めて火の準備をする。

それですることがなくなった。

海に入ってみる。

塩の流れがきつくて、うまく泳げない。

うにが大量に採れる。。

ナイフで、くりぬいてみる。

ナイフが刺さると、うにが苦しそうに針を動かす。

卵巣を取り出し、食べてみる。

約半年振りに食べる生のうには非常におしい。

味以上に、そこにある生命をそのまま摂取することがこんなにもすばらしいことだとおもった。


そしてすることが無くなった。

葉巻を一本すう。

キューバシガーの独特の香りがある

後はやることがない。

一日ここで過ごすのだから、どこにいかなくてもいい。

ただただ、海を見て、太陽が沈んでいくの見る

ある時間から、刻々と景色が変わっていく

夕焼けの美しさは太陽の色だけではない、空との隙間に
できる紫色が非常に美しい。

こくこくと景色がかわり、太陽が最後の足掻きのように、光を発しながら海に沈んでいく。

地平線が広いと、そこにも土地があって、その人はまだ太陽のあるところにいる。

もし、太陽が沈む速度で進む飛行機があったら、一度乗ってみたい。

太陽が見えなくなっても、空はまだ明るい。

きっと、数千メートル空に上ったら太陽は見えているのだろう。

空が変化し始めて2時間。

あたりは暗闇になる。

月もでていない夜。

ゆっくりと、目が順応していったせいか、あたりはよく見える。

空には地球が宇宙にあることを自覚させてくれるような満天の星空

急激に気温が下がり、寒くなってくる。

焚き火に火をつける。

本当に火をつけると落ち着く。

しかし、それは間違いで、火だけを見ていると落ち着く。

火をつけると、あたりが真っ暗になり、突然自分の体が暗闇に浮き上がる。

それは、逆に空から見ると、自分の存在が世界にばれ

とても不安になる。

あたりが全く見えない。

小さな音でもそちらの方に何かがいるのかと目を向けてしまう。

火の光が当たるところだけはよくみえ、あとは暗闇。


ヤシの葉がこすれる音は、ほんとうに人のざわめきに聞こえる

風が吹くと、あたりはたくさんの人に囲まれている様な気分になる。

落ち着くことができない。



本当に怖い。


何も保障されない世界で、一人というのは本当におそろしい。

このとき本当に切実に思った。





太陽があがってほしい。


光がほしい。




朝が来て欲しくないことはいままで何回もあった。

しかし朝が早く着てほしいと願ったのは多分生まれて初めてだと思う。

いや、たぶん祈っていた。

時間の感覚はないので

闇がいつまでも続く

体が急激に冷えてきて、寒くて眠ることができない

ただただ、焚き火を見つめ、朝が来るときをまつ。



ふと顔を上げると、空が白くなっている。
太陽の雰囲気を感じる。
色素の薄い景色があたりに広がりクリアになっていく


そして、太陽が顔を出す。


光がこちらに飛んでくる、周りのものが一瞬にして色を帯びる。

体があったかくなり、鳥が鳴き始める、


今は、もう木のこすれ合う音も気にならない。


今度は太陽に大して感謝の祈りを捧げたいと思った。



そして、その時、生き物以外の生命を感じた気がした。


世界は動いていて、大きな地球があって、太陽がある。

知識として知ってはいるけど、太陽が実感できることは少ない


地球を実感できることは少ない。


びっくりするくらい単純で明解なルールの中に生きている自分がいる。

それをただただ実感した。



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