2010年7月10日土曜日

ナスカである理由

ナスカの地上絵というものはとても有名で、誰でも知っていると思う。けど、それがどこにあって、どんなふうに作られていて、どれくらいの大きさのものかは、わからないと思う。今回はナスカの地上絵を訪れた時のことを書こうと思う。

ナスカの地上絵は、ペルーにある。しかし、ペルーと言っても、海沿いの都市のため、標高は高くなく、海がせりあがってできた土地のため、塩分が多く、砂漠地帯が広がっている。そこに描かれているのがナスカの地上絵である。

ナスカについたのは朝5時。バス停の近くで、卵と肉を焼いたものを揚げたパンでサンドしたものを食べながら情報を集める。ロンリープラネットというガイドブックには、ツアーに参加するのが、もっとも簡単にナスカの地上絵を見ることができると書いてある。しかしこちらは貧乏旅行者なので、自力で行ける方法をさがそうとバス会社を訪ね歩き情報を収集した。

どうやら、ナスカからペルーの首都のリマまでは、パンナアメリカハイウェイが走っていて、それが地上絵をぶち抜いているらしい。そしてその途中に、ミラドールという櫓があり、そこでおろしてもらえればナスカの地上絵を見ることができるとわかった。すぐチケットを購入して出発。

途中で降りることを運転手に伝え、約30分でミラドールへ着く。あたり一面の石砂漠の中にぽつんと櫓が立っている。その下にはテンガロンハットをかぶったおっちゃんが、のんびりおみやげを売っている。

櫓を登ると、それまでただの石砂漠だったところに絵が浮かび上がる。蜘蛛の様な形のヤツとか、鳥のようなやつが、はっきり見える。てっぺんまでくると少し塩っぽくて、砂臭い風を感じる。この地帯の周りにはまったく生命を感じない。荒涼とした石砂漠がずっと広がっている。ほんとうに寂しくなるような景色だ。

しかし、目をおろしてみるとそこには、生命力みなぎる幾何学模様の動植物が描いてある。
そして、この対比がその絵たちを美しくしている。

客もこないのか、おっちゃん達がのぼってきて、形のひとつひとつを説明してくれた。

なぜこんなものを作ったのか、誰が何のためにということは、タイムマシーンが出来るまでわからないものだと思う。しかし、そこに地上絵ができた理由はわかった気がした。それはこの目で見てきた土地の素材がわかったからだ。
ナスカ一帯の砂は白いのだが、その上に乗っかっている小石はとても黒い石なのだ。そして、見渡す限りの平面がある。もしナスカが白い地面に白い石だったらなにも描かれなかっただろう。
逆にそこが土だったりしたらさらに絵はかけないだろう。
そこに白と黒のコントラストがあったから、描くことができたのだろうと思う。

そういった意味で、ナスカ平野はとても不思議な土地で、石と地面の色が違う。そして、そのことがそこに何かを描こうとさせたのかもしれない。それを書いたのが、地球人にしろ宇宙人にしろ、書かかたとのは、ナスカという場所だと思った。

帰りのバスを捕まえる為、道路に戻った。どこまでも一直線に道路が走っている。
足元に転がっている石をひとつ拾い上げ、それをバックパックに押し込んだ。

何かを創らせるような環境。何か大きなものを作り上げるような衝動。そして場所。そんなことを考えながらやってきたバスに飛び乗った。